集客力が落ちていたユニバーサルスタジオ・ジャパンの業績をV字回復させたマーケターである森岡 毅さんの著書『USJを劇的に変えた、たった1つの考え方』は、ユニバーサルスタジオ・ジャパンの事例に照らし合わせながら、マーケティングの基礎を解説した入門書です。
わかりやすい解説と事例
高校生になる森岡さんの娘さんでも理解できるように書かれた本なので、ビジネスの知識がない私が読んでも理解ができました。特にマーケティングの概念を解説だけでなく、ユニバーサルスタジオ・ジャパンでの事例が書いてあるので、その効果を実感しやすいです。なのでこの本を読んでいるとユニバーサルスタジオ・ジャパンに行きたくなります(笑)。
不祥事が集客減の原因ではなかった!
2004年に破綻寸前の状況まで陥った原因は『度重なった不祥事』のせいだと思われていましたが、マーケティングの分析によると『度重なった不祥事』が原因ではなかったそうです。原因はなんとユニバーサルスタジオ・ジャパンは客離れがはじまったことにより、『不祥事』が次々と発生していったのが真相だそうです。なので『度重なった不祥事』の印象を消そうといくら努力をしても、間違った努力をしても業績は回復しないわけです(笑)。
『映画のテーマパーク』をやめる
ユニバーサルスタジオ・ジャパンが『映画のテーマパーク』をやめた理由が書かれています。「そもそも映画を見ている人が少ない」というマーケティングのデータから「映画」にこだわってテーマパークを運営しても客が来ないことがわかったそうです。そこでユニバーサルスタジオ・ジャパンは『映画のテーマパーク』から『エンターテイメントのセレクトショップ』へと変化しなければならなかったそうです。
日本でマーケティングが発達しなかった理由
企業でマーケティングを担当している人が読むと耳が痛くなってしまうことも書かれています(笑)。日本の技術志向、規制による競争阻害、終身雇用制などが日本でマーケティングが発達しなかった理由として挙げられています。たしかにマーケーターがいくら頑張っても、会社の中で資料が積み上げられているだけだったら機能していないも同然ですね・・・。
マーケディング・フレームワーク
実際にマーケティングを使えるようになるための重要なパートが『マーケディング・フレームワーク」に関するチャプターです。5C分析、戦略的ターゲット、コアターゲット、マーケティング・ミックスなどの概念を学べます・・・専門用語を並べると難しそうに聞こえますが、この本の解説を読めば簡単に理解できます。
特に戦略的ブランド・エクイティの解説は秀逸で、難しい概念を『フェラーリを購入する人』と『ディズニーランドへ行く女性』の心理を使ってわかりやすく説明しています・・・私としては女性の心理がやっと理解できたのでよかった(笑)。
マーケターになりたい人へのアドバイス
大学生向けのアドバイスとして、企業のマーケターになるためのアドバイスが書かれています。また、『向き、不向き』をチェックできるリストもあるので活用してみるといいでしょう。ちなみに私は全ての項目が当てはまらないという結果でした(笑)。
森岡 毅さんのマーケティング入門書
P&Gでマーケディングを学び、USJの復活で注目のマーケターとなった森岡 毅さんの著書。