2013年に映画化された『コングレス未来学会議』の原作『泰平ヨンの未来学会議』を読みました。作者は『ソラリス』『砂漠の惑星』などを書いたSF小説家のスタニスワフ・レムさんです。今回読んだ『泰平ヨンの未来学会議』は2015年5月25日に発行された大野典宏さんによる改訳版です。
想像もしなかったようなハプニングが次々に起こるストーリー
この小説の特徴は想像もしなかったようなハプニングが次々に起こるストーリーです。各々のハプニングにはスタニスワフ・レムの未来に対するアイディアが詰め込まれています。最初から最後まで読むと彼の豊富な想像力に圧倒されてしまうでしょう。泰平ヨンに起こるハプニングや未来の設定などはまるで遊園地のアトラクションのように楽しめるので、ぜひ読んでみることおすすめします。
現実の世界も魅力的
この小説は反乱の鎮圧のために軍が投下した爆弾の幻覚薬を吸い込んでしまったことから幻覚の世界を体験するパートがメインストーリーです。しかし泰平ヨンが第8回世界未来学会議のために宿泊するコスタリカのヒルトンホテルでの体験と現実世界も異常な状態になっているので面白いです。ホテルの中と反乱の設定だけでも別のストーリーが作れてしまうくらい魅力的な世界観をスタニスワフ・レムさんは作り出しています。
幻覚による突然の場面展開
泰平ヨンが幻覚を見ているときに突然場面が変化する部分があります。何の前触れもなく文章が続いていくので主人公だけでなく読者も「アレ?・・・何が起こってるの?」と思って気が付く仕掛けになっています。この感覚は泰平ヨンに自分が乗り移ってしまったようで不思議な感覚であり、スタニスワフ・レムの仕掛けに騙された感じで楽しいです。
ユートピアのような未来
さまざまなハプニングによりユートピアのような未来にたどりついた泰平ヨンですが、彼が体験する未来の設定もアイディアにあふれています。また泰平ヨンが未来に適応しようと学習をすればするほどユートピアのような未来に疑念を持つ展開になるストーリーも面白いです。
映画『コングレス未来学会議』も楽しみ
残念ながら見逃してしまいましたが、映画『コングレス未来学会議』のDVD化が楽しみです。訳者である大野典宏さんの『あとがき』を読むと、映画版は小説とは全く違うストーリーながらもスタニスワフ・レムの主張を描ききっていると評しています。また映画批評などでも高評価だったのでぜひチェックしたいと思います。
『コングレス未来学会議』劇場予告編