ディズニーのアニメや実写版映画とは全く違う『ジャングル・ブック』の原作小説

ディズニーのアニメや実写版映画とは全く違う『ジャングル・ブック』の原作小説

ディズニーの実写映画『ジャングル・ブック』が大変面白かったので、ラドヤード・キプリングが書いた原作小説を読んでみました。原作を読んで驚いたのは映画とは全く違うストーリーだということです。しかも小説の方がアクションシーンが多いので、大人も子供も楽しめるストーリーになっています。

岩波少年文庫のジャングル・ブック

ディズニーの実写版映画『ジャングル・ブック』が劇場公開されたので、現在はさまざまな出版社から『ジャングル・ブック』の小説が翻訳されています。私が読んだのは岩波書店から出版されている三辺 律子さんの翻訳本です。読みやすい表現で翻訳されているので違和感なく読むことができました。

ジャングル・ブック (岩波少年文庫)
出版社: 岩波書店
著者: ラドヤード・キプリング
翻訳: 三辺 律子

短編小説を集めた形式

原作小説は短編が集まった形式なので時間軸がバラバラに展開します。なので各章を読みはじめる時に一瞬だけ戸惑うかもしれません。しかしどのストーリーも展開が早いのですぐに物語の魅力に引き込まれると思います。

ただし残念なことに岩波少年文庫のジャングル・ブックではモウグリが登場する8編のみの掲載になります。モウグリが登場しない残り7編は掲載されていません。




アニメ、実写映画とは全くストーリーが違う

原作小説のジャングル・ブックはアニメや映画とは全く違うストーリーになっています。特にアニメで表現されていたようなほのぼのとした雰囲気ではなく、原作小説ではジャングルで生き抜くための戦いが常につきまとってきます。その結果、アニメや映画などよりもジャングル・ブックの社会がどのように構成されているのか理解しやすくなっていると思います。

無駄に殺生をしているわけでは無い

ディズニーのアニメや実写版映画と比べると原作小説の方が「血生臭いシーンが多いなぁ」と感じると思います。しかしジャングルには掟があり、無駄な殺生をしているわけではありません。厳しいジャングルで生き抜くことの難しさや、命の尊さなどを効果的に表現していると思います。

また無駄な殺生を楽しんでいるシア・カーンや人間などは敵として描かれ、避けられない戦いとなっていくところなどは映画版に負けないくらい魅力的なアクションシーンになっています。




子供のキャラクターは純粋無垢な存在ではない

日本人の傾向としてありがちな「子供のキャラクターを純粋無垢な存在」と認識してしまったり、ディズニーアニメの作り出した主人公モウグリの印象を持ってジャングル・ブックを読みはじめると、モウグリの設定に多少戸惑ってしまうと思います。

原作小説ではモウグリの子供時代から思春期までの成長過程を描いているので、モウグリのキャラクターは常に変化し、それと共にストーリーがエンディングへ向かっていく設定になっています。なのでモウグリが成長するにしたがって彼の行動や発言に好感が持てない箇所もあるかもしれませんが、「主人公の好感度」と「小説の完成度」は別物だと思って評価したほうがいいでしょう。

その他のジャングルブックの翻訳本

ディズニーの実写版映画の劇場公開に合わせて原作小説の翻訳本がさまざまな出版社から発売されています。

ジャングル・ブック (新潮文庫)

出版社: 新潮社
著者: ラドヤード・キプリング
翻訳: 田口 俊樹

新訳 ジャングル・ブック (角川つばさ文庫)

出版社: KADOKAWA/角川書店
著者: ラドヤード・キプリング
翻訳: 山田 蘭

ジャングル・ブック (文春文庫)

出版社: 文藝春秋
著者: ラドヤード・キプリング
翻訳: 金原 瑞人、井上 里

ディズニーのアニメと実写版映画もおすすめ

原作とは全く違うストーリーになっているディズニーのジャングル・ブックですが、どちらも素晴らしい作品なのでおすすめです。アニメ版はシャーマン兄弟によるミュージカルが見どころですし、実写版映画はリアルなジャングルの風景をCGで作り出しているので映像に迫力があります。

ちなみにディズニーはジャングル・ブック 2も制作していますがこちらも全く違うストーリーになっています。ただし・・・原作小説を読んだ後にこの強いアニメを見ると恐ろしいエンディングにしか感じられません(笑)。

ディズニーアニメ版 『ジャングル・ブック』

ディズニー実写版 『ジャングル・ブック』

関連記事