NHKで放送されたテレビ番組『ハリウッド白熱教室』を書籍化した本を読みました。映画の基礎的なルールを知ることで、表現の意図をもっと理解し、楽しめるようになる本です。
ドリュー・キャスパー教授の講義「映画論入門」
書籍『ハリウッド白熱教室』はアメリカの名門大学、南カリフォルニア大学(USC)のドリュー・キャスパー教授の特別講義(講義「映画論入門」のショートバージョン)をテープ起こししたものです。なのでドリュー・キャスパー教授と生徒たちの会話形式で構成されています。日本の授業のように堅苦しくなく、教え方も上手いので映画マニアでなくても読める本になっています。またアメリカの大学の雰囲気が伝わってくるので、読んでいて楽しい気分になってきます。
5つのテーマから映画を読み解く
ドリュー・キャスパー教授の特別講義は5回に分けられ、脚本、ビジュアルデザイン、撮影、編集、音響効果と5つのテーマ別に講義が開催されます。これらの講義は映画制作での基本的ルールや技法について解説していますが、教授がやさしく解説してくれるうえに図や写真も掲載されているので、映画制作の知識が無くても理解できると思います。
ただし「チャプター4: 編集」では「映画は視覚的体験をどのようにコントロールしているのか」について語っているので、参考資料として使われたを見ておいた方が理解しやすいでしょう。難しい講義ではありませんが、視覚的に体験することが一番重要だと思われます。
参考資料として使われた映画
講義ではそれぞれのテーマを理解しやすいように、参考資料として下記の映画を使用しています。
チャプター1: 脚本
- いつも2人で
- サンセット大通り
- ショーシャンクの空に
チャプター2: ビジュアルデザイン
- カサブランカ
- 若草の頃
- マイレージ、マイライフ
チャプター3: 撮影
- 陽のあたる場所
- ワイルドバンチ
チャプター4: 編集
- ファーゴ
- チャイナタウン
- フレンチ・コネクション
- ゴッドファーザー
チャプター5: 音響効果
- サウンド・オブ・ミュージック
- ティファニーで朝食を
- 知りすぎていた男
- ジョーズ
巻末の脚註
巻末には講義の中で話題に上がった他の作品や俳優、映画監督についての情報が掲載されているので、今後の映画鑑賞に役立つと思います。また教授の記憶違いなどの訂正も書かれており、NHKの制作班がちゃんと検証してから書籍化をしていることがうかがえます。
南カリフォルニア大学(USC)の映画学科について
ハリウッドの映画界に多くの卒業生を送り出してきたのが南カリフォルニア大学(USC)の映画学科です。映画製作を目指す学生ならば憧れの大学でもあるのですが、実際はなかなか目指すことができません。なぜならなぜならアメリカの私立大学の学費は非常に高く、特に南カリフォルニア大学(USC)は裕福な家庭の子供が行く大学としても有名です。
本で受講できてしまうのはラッキー!
昔なら「借金してでも・・・」と考えることもできましたが、アメリカの大学の授業料は年々増加する傾向にあり、私立大学を卒業するまでにかかる学費は2千万円以上と言われています(2千万円では全然足らないと言う私立大学の卒業生もいますが・・・)。なのでドリュー・キャスパー教授の講義が1,600円の本で読めてしまうのは非常にラッキーとしか言いようがありません・・・この授業に主席している学生はいくら払っているんだろう???(笑)。
最後に私が南カリフォルニア大学(USC)の映画学科を訪れた時の記事と写真をこちらにリンクしておきます。あまりにも素敵なキャンパスに驚くこと間違いなしです(笑)。