ピクサーのアニメーション『インサイド・ヘッド』のコンセプトアート画集『The Art of Inside Out (英語版)』を購入しました。このアニメーションの邦題は『インサイド・ヘッド』となっていますが、アメリカのタイトルは『Inside Out 』で公開される予定です。
今回の画集は他のシリーズとは違う
ピクサーやディズニーのコンセプトアート画集を購入した経験がある人なら、今回の画集を開くと他のシリーズとは違うことに気が付くと思います。ドローイングを1ページにつき1点掲載しているので、コンセプトアート画集というよりも、作品集に近い本になっています。
追記:日本語版も発売されました
文章がほとんど無い
序文、イントロダクション、謝辞以外に文章がほとんどありません。たくさん掲載されている画像の一部に短いコメントがついているだけなので、少し英語が読める人ならば英語版でも問題なく楽しめると思います。しかしドローイングにタイトルがついてない作品があるので、アニメーションが公開されていない現段階ではちょっと分かりにくいです。特にコンセプトアート画集では削除されてしまったアイディアが掲載されることもあるので、タイトルは重要な気がするのですが・・・。
意図的に説明文が無い?
イントロダクションに「説明文よりもドローイング自体に語らせることにした」と言うようなことを監督のピート・ドクターが書います。なので今回の画集は意図的に説明文が無いようです。
ドローイングがメイン
今回の画集はコンセプトが決定するまでのドローイングがメインで掲載されています。唯一の例外がキャラクターのクレイモデルと折り紙のように作られたキャラクターのモデル写真のみです。画集『ジ・アート・オブ ベイマックス』のように画集背景デザインを作成するため使用した資料写真などは掲載されていません。
大きく画像が掲載されています
ドローイングを1ページにつき1点掲載しているので、ドローイングが大きく掲載されています。細部まで確認できるので各ドローイングを鑑賞するにはいい仕上がりです。今までのピクサーやディズニーのコンセプトアート画集シリーズというよりも、以前紹介したウォルト・ディズニー・アニメーションスタジオのアーカイブシリーズ『Layout & Background 』に近い雰囲気の画集に仕上がっています。
章立てがない
章立てがないので、キャラクター、背景、シーンのドローイングがミックスされて掲載されています。監督ピート・ドクターのイントロダクションによれば、制作プロセスを読者にも体験してもらいたいと書いていることから、制作の過程でできたドローイング順になっているのかもしれません?しかし、読者としては「どのようなプロセスでコンセプトを決定していったのか?」を読み解くことが困難になってしまった気がします。
感想
良くも悪くも今回の画集は今までのシリーズとは違う構成なので、満足できる点もあれば満足できない点もあります。それでもコンセプトアートがすばらしいので、ピクサーのファンにはおススメできる画集になっていると思います。
ドローイングの画集としては見やすい
ドローイングが大きく掲載されているので作品を十分に楽しむことができます。文章や他のドローイングなどが鑑賞の邪魔をしないので非常にいい画集になっていると思います。また描かれているキャラクターのドローイングがいきいきとしてますし、抽象的に表現された絵などもあり、ピクサーの品質の高さを実感できます。
コンセプトアート画集としては少し残念
今までのピクサーとディズニーのコンセプトアート画集を毎回楽しみにしているような読者は、ちょっと満足できないかもしれません。ドローイングのみの掲載なのでプロのアーティストたちがどのように考えてたのか理解するのは難しい気がします。鑑賞用の画集としては完成していますが、制作現場の雰囲気が感じられないコンセプトアート画集になってしまったのが少し残念です。